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IoT 導入ステップ~企業価値を高めるIoTを導入するには?〜3/3

今回は、IoT導入ステップシリーズの最終回として、一番の勘所である「IoT企画検討会」の進め方を解説したいと思います。
何でも新しいことをやる場合はそうですが、実行する前に十分「企画」を練りますよね。IoTもそれと一緒です。IoTを急いで検討開始したいという方は、このIoT導入ステップ(3)だけお読みいただいても結構かと思います。

前回のおさらい

前回の「IoT導入ステップ2/3」では、企画フェーズの流れからチームメンバーの選定についてお話させて頂きました。


図1「IoT導入ステップ (企画フェーズ)」(出展:㈱BFCコンサルティング)

今回お話しする「IoT企画検討会」を開始するために、まずはIoTを実行するチームのメンバーを選定(図中①)します。
メンバー選定にあたっては、以下の図2「IoTを推進する必要条件」に記載しました、このチームに求められる「3つの能力」を念頭において人選することが肝要であると解説しました。


図2「IoTを推進する必要条件」 (出展:㈱KSKアナリティクス)

3つの能力とは以下です:
① データ活用の企画力(現場の課題・問題点を特定できるビジネス力)
② 分析リテラシー力(収集したデータを分析し、解決策を発見する能力)
③ データの蓄積力(データエンジニアリング能力)

それぞれの具体的な人間像や機能・能力などの詳細については、前回を参照ください。

一言でメンバー構成を言いますと、3種類の人間の集まりです。ビジネスや現場に長けた方、データ分析に長けた方、IT(クラウドやネットワーク等)に長けた方です。

初期の段階のチームでは、これらの3領域から一人ずつ集めて、リーダーを入れて合計4人からのスタートとなります。リーダーは、所謂CDO(Chief Data/Digital Officer)と呼ばれる位置づけの方で、これらの3種類の能力にたけた人材を活用して、IoTプロジェクトの方向性とその価値を経営陣に働きかけて推進していくことが求められます。

IoT導入を成否する最大の勘所「IoT企画検討会」

プロジェクトチームメンバーの選定が終了しましたら、キックオフ(図2中②)から、IoT勉強会(図2中③)を経て、IoT企画検討会開催(図2中④)と進んでいきます。 IoT企画検討会は、プロジェクトチームが主催し、関係すると思われる部署の方々を集めて実行します。
筆者の経験から申しますと、例えばある製造業では、特定の製造事業所の生産管理、生産技術、品質保証、本社経営企画などの部署に声をかけ、プロジェクトメンバー含めて総勢10名~10数名程度の検討会を組成致します。

検討会メンバーが決定したら、いよいよ肝となる検討会の実施となります。
それでは具体的なIoT企画検討会のステップを見ていきましょう。

検討会メンバーはIoT検討だけを業務としている場合は少なく、現業を抱えての参加となりますので、何日もダラダラと検討会を続けるわけにはいかないので、全体で3~4回程度の集中会議・合宿を効率よく行って進めていきます。
部門横断プロジェクトとなりますので、普段顔を合わせることがない方や部署の方、若手、熟練者など多様な方々の集合体になります。

日本人はこういう多様性に富んだ参加者が多い会議ではなかなか本音や意見をださずに黙ってやり過ごそうという傾向が多いかと思います。それではよい結果がでませんので、意外に重要なことは、まず懇親会を行うことです。
一席設けて、わいわいやりながら相手のことや仕事内容を知り、相互に打ち解けあい、その後の会議でフランクに意見交換することが出来るようになります。

IoT導入目的の確認

図1「IoT導入ステップ (企画フェーズ)」の中のまずは⑤-1「IoT導入目的の確認」です。そもそも何のためにIoTを導入しようとしているのか?を徹底的に議論します。

コスト削減を狙うのか?それとも所有している設備や資産を有効利用して効率性向上を狙うのか?
コスト削減は設備に関わるロスを削減するのか?それとも省人化で削減するのか?製品の不良率を抑えて削減するのか?
効率性向上は、生産のリードタイムを短縮するのか?在庫保有量を削減するのかなどいろいろ考えられます。

以下の図3「IoTとROAの関係」をご覧ください。

図3「IoTとROAの関係」

いずれにせよ、どの方策を行おうとも、最終的に経営者が意識している「ROA:総資産利益率」に繋がっていることを意識していることが重要です。

例えば、IoT導入によって人の工数が見える化でき、その結果工数削減を達成できると仮定しましょう。それは、利益を上げることになり、売上高利益率向上に寄与します。その結果ROA全体にも効いてくることとなります。

このように、自分たちは何を目指そうとしているのかを明確にすることが大事です。

課題問題点の抽出、適用可能業務プロセス評価

その上で、⑤-2「課題問題点の抽出」、⑤-3「適用可能業務プロセス評価」に進みます。ここでは具体的な課題問題点と、それが発生しているプロセスや業務を絞っていきます。

例えば生産ロスの削減を狙うとしましょう。その場合、例えば「人」に焦点を当てたとすると、機械がしょっちゅう故障するので作業がストップしているのか、不良品が多く発生するため、その手直しに時間がとられてしまっているのかなど複数の問題が考えられます。

これらの課題・問題点が発生しているプロセスや業務はどこなのかを特定します。

例えば物流倉庫でいいますと、●●地区のA物流センターのB高速ソーターの不具合がたびたび発生し、その手直しに作業員数名が○○時間毎月取られているなどと特定します。

分析項目リスト化

次に行うのが⑤-4「分析項目リスト化」です。

この課題・問題点をIoTで解決するためには、どんなデータや情報が必要なのか?を検討します。上記物流センターの例で言いますと、まず高速ソーターの元々もっている「保有設備時間」に対して、故障などで稼働できていない時間(設備不稼働時間)を差し引いた「設備稼働時間」を把握し分析しなければなりません。

作業員についても同様で、元々期待されている各作業員の「就業時間」に対して、設備の不具合調整などにより発生する時間(標準外作業時間)を差し引いた「有効実働時間」を把握し分析しなかれば改善のヒントやアイデアは出てきません。

このように、分析すべきデータや情報など特定し、それらはどのプロセスに存在しているのか、今はないのでこれから取得する必要があるかなど項目としてリスト化する作業が発生します。
これが⑤-4の「分析項目リスト化」です。

優先順位付け

⑤-5「優先順位付け」ですが、複数の課題・問題点が候補にあがるかと思いますので、その優先順位を決定する必要があります。優先順位をつけるための観点は、会社によって幾つかバリエーションがあるかと思います。
例えば、「期待効果の大きさ」という観点や「実現可能性」(導入の難易度が低いかどうか、他社事例があるのかどうか、運用部隊がついてこれるのかどうか等)の観点や、「導入適合性」(直ぐやれるのかどうか?手間や投入資金が少ないかどうか? 社内波及効果が期待できるかどうか?など)の観点から優先順位を決定します。

IoT導入ロードマップ

⑤-6「IoT導入ロードマップ」の作成ですが、通常は向こう半年から1年程度の実行スケジュールを作成することとなります。いわゆる工程表です。
1.いつまでに何を実行して
2.どういうアウトプットを出すのか
3.実証実験はいつまでに終えて
4.本番移行はいつから開始するのか
など、経営層が見て納得できる工程表を作成します。

IoT導入企画書

⑤-7は、上記⑤-1~⑤-6までの検討会で検討してできた結果のアウトプットをIoT導入企画書としてまとめます。この企画書はスポンサー(管轄役員)からの実行承認の取得のためと企画検討会メンバーで共有しメンバーの意識合わせのために活用します。

最後に

以上、ざっと解説を致しましたが、IoTは会社の規模や業種業態によって非常に多くの導入バリエーションが存在します。ご不明点や業種・業界特有の課題に対して具体的にどうすればいいかなど、ご意見・ご質問がございましたら、お問い合わせください。